授業方針・テーマ |
ヨーロッパ古代の倫理学に関するテクストを読むことによって倫理学史における基本的な概念とその歴史的な背景を学び、また倫理学的な思考法についても考察する。 2022年度は古代末期の地中海世界において倫理学的な探求がどのように実践されていたのかを検討するため、4世紀末古代人の倫理への関心の実態を反映する著作であるアウグスティヌスの『83の諸問題について』(De diuersis quaestionibus octoginta tribus)を読む。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
現代とは異なる或いは共通する思考の現場とその歴史的な経緯が何であったかを考えることによって、様々に異なる考え方を批判的に検討する。またテクストを読解する作業を通して新たな問いを発見する方法を学ぶ。その作業を繰り返すことによってテクストを分析するための基本的な技術を習得することが期待される。 |
授業計画・内容 授業方法 |
【授業計画】参加する人々の理解の度合いを考慮しながらテクストを読解するので定められた範囲を読み終えることを目標とはせず、むしろ精読することを重視する。よって以下の授業計画はあくまで目安にすぎない。 第1回 シラバスを確認するとともに授業の方法について説明し、資料を配付する 第2–5回 『83の諸問題について』第30問から第31問を読む 第6–9回 『83の諸問題について』第32問から第33問を読む 第10–15回 『83の諸問題について』第34問から第36問を読む 第16–19回 『83の諸問題について』第37問から第38問を読む 第20–23回 『83の諸問題について』第39問から第40問を読む 第24–29回 『83の諸問題について』第41問から第43問を読む 第30回 テクスト読解のまとめ
【授業方法】この授業は、対面授業と非対面授業それぞれのメリットを考慮したうえで、二つの授業の形態を隔週ごとに組み合わせるブレンド型授業という形態によって行なわれる。 受講者は先行する非対面授業において講読するテクストの配信を受け取った上でその読解に取り組み、所定の範囲について作成した訳文とともに疑問点を記入した「読解ノート」を 都立大 eラーニングシステム Kibaco経由で提出する。つづく次週の対面授業において、「読解ノート」に関する質疑応答を行なうとともにテクストの論理や構造を踏まえた解説が提供される。 非対面授業ではアプリケーション Discord を利用するとともに Kibaco を併用するので、これらを利用するための端末とインターネット環境が必要となる。対面形式で行なわれる初回授業のガイダンスにおいて授業の形態について説明する。 |
授業外学習 |
【授業外学習】事前学習では、それまでに読解したテクストについて再度検討する。この事前学習の所要時間の目安は30分程度とする。授業後の学習では、ノートをふりかえって疑問点を確認するとともに議論の内容について考察を進める。事後の学習の所要時間の目安は30分程度とする。 |
テキスト・参考書等 |
Kibaco (或いはそのバックアップとして教員が運営するウェブサイト)を通してテクストを配布する。授業の進度にしたがって参考文献を紹介するとともに資料を配付する。 |
成績評価方法 |
「読解ノート」を中心とした授業への参加の評価 50%と学期末のレポート 50% によって総合的に評価する。演習において検討したテクストの再分析等を課題として設定する予定である。非対面授業への出席はアプリケーションに記録された回答状況によって判断する。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
【オフィスアワー】 質問はいつでも受けつけるので、担当教員のメールアドレス宛てに連絡する。メールアドレスについては初回授業時に伝える。また、アプリケーションのメッセージ送信機能を積極的に利用することが期待される。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
【他の授業科目との関連性】 この授業ではキリスト教信仰と関連するテクストを検討するけれども、求められるのは考察する対象を批判的に検証することである。また、倫理学がキリスト教神学との批判的な応答を通してその思考を彫琢した歴史的な経緯を踏まえ、古代から中世にいたる倫理学史を学ぶ手がかりを授業のなかで紹介する。 |
備考 |
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