シラバス照会

<< 最終更新日:2019年03月20日 >>
基本情報
科目種別 都市教養プログラム 授業番号 B0513
学期 前期 曜日
科目 英語圏の文化 時限 2限
担当教員 吉田 朋正 単位数 2
科目ナンバリング
※2018年度以降入学生対象
GBB-118-3:全学共通科目

担当教員一覧

教員 所属
吉田 朋正 人文学科

詳細情報
授業方針・テーマ 英語圏の文化を幅広く理解する。
習得できる知識・能力や授業の
目的・到達目標
・原典を読むことを通じて、英語圏の文化、歴史、科学等の成立について一般的な知識を得る。
・講義で得た知識を駆使して、英語圏の文化を自分なりに論じることを目指す。
授業計画・内容
授業方法
授業の概要
 シェイクスピアの時代に「辞書」はなく、今日言うような(国語としての)「英語」はありません。言葉を「アルファベット順」で並べること自体、18世紀に新しい「サイエンス」として定着した発明であって、「サイエンス」という言葉にも、ラテン語のシアンスに近いずっと広い意味がありました。この語が「(自然)科学」を排他的に意味するようになったのは、比較的最近のことです。
 また日本ではよく「イギリス」と言いますが、そのような「国」が存在したことは一度もなく、今もありません。大学で言う「英語圏」の文学や哲学には、当たり前のように「アイルランド詩」や「スコットランド啓蒙」が含まれますが、彼の地の言語はもともとゲール語やスコットランド語であって、"English"、すなわち「イングランド語」ではないのです。これは、例えば一時期日本語が朝鮮半島の「公用語」であったように、政治的な言語政策の結果に過ぎません。
 しかしそうやって母語を奪われた「アイルランド人」たちは、やがて『フィネガンズ・ウェイク』のような作品を生み、英文科で言う「イギリス文学」の中核となりました。他方、ご本尊であるはずのイングランド「王立協会」の人々は、もっとも豊富な語彙を持つこの”English”という自然言語の混沌を忌み嫌い、コンピュータ言語にも似た人工言語を追求することになります。「サイエンス」が今日のいわゆる「科学」へと転換するこの時期はまた、政治・経済的な大変革期でもありました──
 ひとつの言語圏を理解しようとすることが、こんな風に非常に多くのものに繋がってくるということを、英語の原典をひもときながら知ってもらいたいと考えています。

授業計画
第1回 ガイダンス
第2回 「イングリッシュ」の意味
第3回 ルネサンスと大航海時代における「英語」
第4回 「聖書」の英訳:近代語の成立と言語政策
第5回 シェイクスピアの時代と、その後
第6回 「サイエンス」とは?:ウィルキンズ、アーカート、王立協会
第7回 「エンサイクロペディア」:アルファベット順という発明
第8回 「資本主義」と「英語」1:ルネサンスと大航海時代:
第9回 「資本主義」と「英語」2:ピューリタンと金儲け
第10回 「通貨」と「英語」1:ドルと英語のグローバライゼーション
第11回 「通貨」と「英語」2:金本位制と『リア王』
第12回 アメリカ革命と印刷技術:山師トマス・ペインと2つの英語圏
第13回 「メディア」概念と英語圏文学:欽定訳聖書から『フィネガン』へ
第14回 「クリシェ」と「アーキタイプ」:英文学者マクルーハンの予言
第15回 まとめ
授業外学習 指定箇所を授業前に読んでおくこと。範囲についてはシラバスに沿うが、毎回の授業でも指定する。
テキスト・参考書等 テクスト
基本文献の大半はコピーまたはPDF資料を配布する。一部書籍で用意した方が良いテクストについては教室で指示する。

参考書・参考資料等
教室内で適時指示。
成績評価方法 学生に対する評価
学期末のレポートによって基本的な評価を行う。これを成績評価の70%とし、残りの30%はレスポンスシート等を通じた授業内容に関する質疑応答などの積極性で評価。
質問受付方法
(オフィスアワー等)
原則として授業後の休み時間とKibacoにて対応します。
特記事項
(他の授業科目との関連性)
備考