授業方針・テーマ |
英語圏の文化を幅広く理解する。 |
習得できる知識・能力や授業の 目的・到達目標 |
・原典を読むことを通じて、英語圏の文化、歴史、科学等の成立について一般的な知識を得る。 ・講義で得た知識を駆使して、英語圏の文化を自分なりに論じることを目指す。
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授業計画・内容 授業方法 |
授業の概要 シェイクスピアの時代に「辞書」はなく、今日言うような(国語としての)「英語」はありません。言葉を「アルファベット順」で並べること自体、18世紀に新しい「サイエンス」として定着した発明であって、「サイエンス」という言葉にも、ラテン語のシアンスに近いずっと広い意味がありました。この語が「(自然)科学」を排他的に意味するようになったのは、比較的最近のことです。 また日本ではよく「イギリス」と言いますが、そのような「国」が存在したことは一度もなく、今もありません。大学で言う「英語圏」の文学や哲学には、当たり前のように「アイルランド詩」や「スコットランド啓蒙」が含まれますが、彼の地の言語はもともとゲール語やスコットランド語であって、"English"、すなわち「イングランド語」ではないのです。これは、例えば一時期日本語が朝鮮半島の「公用語」であったように、政治的な言語政策の結果に過ぎません。 しかしそうやって母語を奪われた「アイルランド人」たちは、やがて『フィネガンズ・ウェイク』のような作品を生み、英文科で言う「イギリス文学」の中核となりました。他方、ご本尊であるはずのイングランド「王立協会」の人々は、もっとも豊富な語彙を持つこの”English”という自然言語の混沌を忌み嫌い、コンピュータ言語にも似た人工言語を追求することになります。「サイエンス」が今日のいわゆる「科学」へと転換するこの時期はまた、政治・経済的な大変革期でもありました── ひとつの言語圏を理解しようとすることが、こんな風に非常に多くのものに繋がってくるということを、英語の原典をひもときながら知ってもらいたいと考えています。
授業計画 第1回 ガイダンス 第2回 「イングリッシュ」の意味 第3回 ルネサンスと大航海時代における「英語」 第4回 「聖書」の英訳:近代語の成立と言語政策 第5回 シェイクスピアの時代と、その後 第6回 「サイエンス」とは?:ウィルキンズ、アーカート、王立協会 第7回 「エンサイクロペディア」:アルファベット順という発明 第8回 「資本主義」と「英語」1:ルネサンスと大航海時代: 第9回 「資本主義」と「英語」2:ピューリタンと金儲け 第10回 「通貨」と「英語」1:ドルと英語のグローバライゼーション 第11回 「通貨」と「英語」2:金本位制と『リア王』 第12回 アメリカ革命と印刷技術:山師トマス・ペインと2つの英語圏 第13回 「メディア」概念と英語圏文学:欽定訳聖書から『フィネガン』へ 第14回 「クリシェ」と「アーキタイプ」:英文学者マクルーハンの予言 第15回 まとめ |
授業外学習 |
指定箇所を授業前に読んでおくこと。範囲についてはシラバスに沿うが、毎回の授業でも指定する。 |
テキスト・参考書等 |
テクスト 基本文献の大半はコピーまたはPDF資料を配布する。一部書籍で用意した方が良いテクストについては教室で指示する。
参考書・参考資料等 教室内で適時指示。 |
成績評価方法 |
学生に対する評価 学期末のレポートによって基本的な評価を行う。これを成績評価の70%とし、残りの30%はレスポンスシート等を通じた授業内容に関する質疑応答などの積極性で評価。 |
質問受付方法 (オフィスアワー等) |
原則として授業後の休み時間とKibacoにて対応します。 |
特記事項 (他の授業科目との関連性) |
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備考 |
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